forget-me-not







***



―――10年前



『…おまえ、捨てられちゃったの?』


小学校の帰り道、黒い捨て猫を見つけた。



『どうして、こんなに可愛いのに捨てたりするのかなぁ』


クロと名付けたその子猫に、毎日餌を遣りに来ては、その美しい毛並みを撫でていた。




『…いい子』


ミルクを上品に飲んでは、しれ、と澄まし顔のクロ。

艶のある美しすぎるそれは、捨て猫とは思えなかった。

私は幼いながらに、どこかのお金持ちが飼っていたのかな、なんて、思っていて…










『…クロ』








だから驚いた。

低木の下からクロにそっくりの黒猫が這い出してきた時。

その瞳は一度見たら忘れられない程、濃く、濃く、深いブルー。







『クロ…』










確かクロの瞳は…















『――キミが忘れた頃にまた、戻ってくるよ』



















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