forget-me-not
季節は秋の終わり。
コンクリートの上を枯れ葉が数枚舞う季節。
私の、好きな季節。
(…あぁ、またこの季節がやってきた)
お気に入りのジミーチュウを履いた足を止めるのは…
「、」
大きな歩道橋の前。
「今年も、また、」
見上げれば僅かに残る赤と黄色が、ハラリ、目の上にかかった。
道路沿いに生い茂る木々。
寂しげな顔を見せて、絢爛豪華な絨毯を敷き詰める。
「フゥ、」
そっと息を吐き出せば、もう白いそれに驚いてまた、冷たい空気を吸い込む。
あなたが吸ったそれも、もしかしたら混じっていたかもなんて馬鹿なことを考えながら。
(…もう、あなたに逢うことはないけれど)
目に見えない酸素にさえも、そんな残像を抱くのは…