forget-me-not
『また、明日。だって、』
「それだけ?」
『うん』
嘘は、言ってない。
あの電話で交わしたのはせいぜいそんなところだ。
「なにそれ、つまんないー。ねぇフウさぁぁ?黒か……―――――――――――♪ ♪ ♪ ♪
(……!)
突如鳴り響くのは紛れもなく、私の携帯電話。
その音に心臓を鷲掴まれたかのように、びくり、反応する私。
リカが眉根を寄せて、そんな私を心配そうに見遣る。
(…電話の音は、まだ、慣れないなぁ)
‘…も、しもし’
‘………’
無言、電話。
正体は分かってるけど。
‘…………僕’
たった一言なのによろめくくらい素敵な、いやいや、違う誉めたくはない、小癪に色気がある。
‘僕僕詐欺ですか’
‘…………’
とりあえず捻くれてみれば、ハァ、と呆れたような溜め息。
それさえ、それさえ、
(…い、やいや。だめだ。罠にかかるな)
‘午後7時。あの公園で’
―――ツー、ツー、ツー
切れ、た。