forget-me-not







***




『――何?』


第一声。未だ、警戒顕わに。

公園の木に凭れて瞼を閉じるその姿に話しかける。




「、」


だが彼は何も言わずそのまま両腕を組み目を閉じて、表情ひとつ、変えない。



(…なんなの)



辺りは真っ暗で街灯の光だけがその端正な横顔を照らす。

それは暗闇でも分かるほど、透き通るように美麗な白だ。

閉じられたそこに映える長い漆黒の睫毛も、現世離れしているようで。




『ねぇ、』


沈黙に耐えられず、否、その無言の美しさに当てられるのが苦痛になったのか、もう一度呼びかける。




「、」


と、その瞳はゆっくりと開かれ、ブレずに私を捉えた。

隠されていた硝子のような蒼色を真正面にくらう。




『…な、なによ』


黙したままジ、と見つめられるのは辛い。

その瞳の圧力は凄まじく、決して熱がこもるような暑苦しいそれではないのに。

むしろ冷淡なくらい冷ややかであるのに、ただならぬ重圧感。















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