forget-me-not







「それと、言っておくけど…

僕は、この世界の人間じゃ、ないから」



(…ハ?)



リカが昼間に言っていた言葉を思い出す。本当だった、なんて。




『…じゃないなら、何なの?宇宙人?』

「それも少し違うかな」


少し…?じゃあ大方当たってるわけですか。

リカがヴァンパイアかなんて冗談言ったときも、たしか…




「僕を何だと思ったっていいけど、多分キミの想像上では当たらないよ」

『…ふぅん。リカにヴァンパイアでもいいよって言った?』

「あぁ。それは嘘じゃない」



(…ハ?)




「正確に言えば、それに近いものにも、なろうと思えばなれるよ」


黒川夜はハァ、と色気たっぷりに吐息を吐いて面倒臭そうに横をみた。




「何にだって、なれるから」


―――シーン、と。

私たちの間に嫌な間が空いた。

多分彼はいま私を見下ろしている。気配でわかる。

けれどその眼光に当てられたくない私は、もうそれを直視することをやめていた。




「まずひとつめ」


そんな私にお構いなしに玲瓏な声が暗闇に響いた。




「――“恋愛”というものが、知りたい」















< 35 / 275 >

この作品をシェア

pagetop