先生は蒼い瞳の狼くん*2nd






「微熱って、じゃあ熱は計ったのか?」


「……いや」


は、計ってない


「それで微熱なんて分かるか!」


バチっと軽く私の額を叩いて龍之介くんが椅子から立ち上がる


「いっ」


「ほら、行くぞ」


いく?

「………」

もしかして、いや、もしかしなくても場所なんて想像できる


「大丈夫だよ!私行かない!」


「ガキみたいな事いうな。前みたいに絆創膏貼っとけば!なんて言うつもりかよ」


うぅっ

それはきっと、私がここに来たばかりのころ


ハサミで手を切ったのに、絆創膏はれば!なんて言った事を言いたいんだろうか


「俺もいくから」


「…」

だけど、いま千尋先生の顔をみたら私はきっと平気な顔なんかできない



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