先生は蒼い瞳の狼くん*2nd



それなのに…

そんな私とは違って、千尋先生は平然とベッドに座り私に体温計を差し出してくる


「ほら、熱計ってみろ」

「………」


そう言われ、私は無言で体温計を受け取り熱をはかる


なんで、千尋先生はなにも言わないんだろう


まるで何もない、私には関係ない…そうとも受け取れる態度に息が詰まりそうだ


聞きたい…


何があったのか、なかったのか


「………」


教えてよ…先生…っ


やりきれない思いに、先生の背中を見つめていると、不意に先生が振り返って―…


「あっ…」


目がバッチリとあってしまう


「ん?体温計、鳴ったか?」


「あ、い、いえ」


ど、どうしよう

目があっちゃった


恥ずかしくて、布団で顔を隠すと千尋先生がクスリと笑う声が聞こえる




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