先生は蒼い瞳の狼くん*2nd





先生はそう言うと、私を見ることなく保健室を出て行った―…





「………っ」


なにを期待してたんだろう。私ってば


そうだよ

千尋先生が行かないはずがないんだ


なのに、私は先生を困らせた―…


「…はは」


なんで、こんなに胸が痛いの。物凄く、痛い


痛くて、痛くて


心が割れてしまいそうだ


「…っ」





こんなことされて、嫌いになれれば、どんなにいいか


どんなに楽か…














それなのにっ




千尋先生が"好き"って気持ちが大きくなるばかり


好きなんだよ

謙先生になんか、渡したくない


渡したくないのに、もうどうしたらいいの



「…っ」


先生の手は、私を受け止めてくれなかった


だから、もう―…


先生を引き留める手がないっ



そう、ギュと布団をにぎる


「………っ」



ないよ、なにもない



.
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