本気だからねっ!
しばらくしてそっと離れる瑞模君の唇。


あたしは、唇が離れた後もしばらく硬直していた。


「………ごめん」


何で謝るの?
謝るくらいなら、こんなことしなければよかったのに。


「………謝んないでよ」


謝られたって、何かが変わる訳ではない。


瑞模君にキスされたことには代わりないもん。


「………はぁ。ほんと、何やってんだろ。さっきのなかったことにして」


そう言って、切ないような、自分に呆れているような顔をする瑞模君。


「なかったことにって………やっぱり瑞模君最低」


強い感じじゃなくて、優しい感じで瑞模君に言った。


ほんとは、瑞模君にキスされたことが嬉しかったからだと思う。
こんなに優しく“最低”って言ったのは。


「自分でもわかってるよ。ほんと、何でキスなんかしたんだろうな」


瑞模君は「はぁ……」と溜め息をついて、顔を俯かせた。










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