本気だからねっ!
「や、面白いよ。お前みたいなの初めて」


「ふぅん。興味沸いた?」


そう言って俺の顔を覗き込んでくる芽衣。


その芽衣に俺はキスをした。


「んっ………何す……―――」


「確かに。興味沸いたよ。お前、俺の彼女になんねぇ?」


あ、またやっちゃった。
すぐ、女作ろうとするから最低とか、言われるんだろうな。


親父みたいになりたくないのに、親父みたいなことをしちまう。


女なんて、信じられるか。女なんて信じたくない。


俺の親父は、俺の母親に“捨てられた”んだ。


俺が産まれてすぐに、俺と親父を置いて男作って逃げていった。


親父は、俺のことを大事に育ててくれたけど、本当はショックなはずで。


心が病んでしまった親父は、女遊びをして心を落ち着かせていた。


ただ抱くだけの関係―――。
決して本気にはならず、深入れせず。


いつしか親父は、毎晩違う女を家に入れて、毎晩違う女を抱いていた。










< 115 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop