本気だからねっ!
段々千歳君の態度に腹が立って、あたしはつい声を荒げてしまった。


「あ、ごめん……」


咄嗟に謝るあたし。


でも、千歳君も悪くない?
あたしだって、好きで静原先輩とキスした訳じゃないもん。


「……杏乃ちゃん、俺さ、やっぱりなんか変だわ。さっきも、あんな態度とるつもりじゃなかったんだ。ただ、なんか苛ついちゃって、気持ちに整理がつかなくて……。ごめん。やっぱりしばらく話しかけないで」


千歳君は静かにそう言う。


さっきとは対照的に、千歳君の顔は切なそうだった。


「あたしもごめん。無神経だったよね。……なんでキスなんかしたんだろう。
あたし、好きで静原先輩とキス訳じゃないよ?ただ、いきなりされて……」


「うん。わかってる。杏乃ちゃんは悪くないし、時夜先輩も悪くないって。でも、なんか許せないんだ。


……杏乃ちゃんのこと、“誰とでもキス出来んのかよ”って思った。……軽いやつなんだって思っちゃった。


好きなのに意味わかんねぇよな。ごめん。杏乃ちゃんはそんな子じゃないってわかってんのに……」










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