それはまるで粉雪のように
『……であるからにして……』

永遠に続きそうな校長の祝辞。

「…………」

それを真面目に聞く1人の生徒。

「ちょっとちょっと……」

後ろから声がかかる。

「美帆……あんたまさか真面目に聴いてるの?」

彼女は豊川汐見。話しかけられた美帆の中学時代からの友人。

「だって……一応、聴いとかないと……」

「全くそういうところがあんたらしいわ」

汐見は溜め息と苦笑とを混ぜて反応した。

「え~……そうかなぁ?」

それに美帆は困った表情で応えた。

「うん」

汐見はあっさりと言った。その反応に少し戸惑いを見せた美帆に続けて聞く。

「あ、そうそう……美帆の幼なじみの彼……えーっと……」

「健ちゃん?」

「そうそう、健ちゃん。彼は何組なの?」

「えっと……3組だよ。」

「あ~……残念ながら、クラス離れちゃったね~」

「べ、別に残念とかないからっ!」

「ん~そうなの~?」

汐見は何の疑いも持たず、無邪気に応える。しかし顔は少しにやけている。その時、汐見の前から声がかかった。
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