それはまるで粉雪のように

―帰り道―

「…………」

1人の男子生徒が雨の中、自宅に向けて歩いていく。

「……クソッ……」

傘も挿さずに歩いていく。口から漏れたのは、先に起きた喧嘩に対する文句。

「…………」

男子生徒は無言のまま、空を見つめる。低く、厚く、そして黒い雲が空を覆う。

「……一体、何だってんだよ……」

頭の中に浮かぶ1つの言葉。

『健ちゃんなんか……健ちゃんなんか……』

「…………」

『……あの人の近くにいればいいんだ!!』

「…………」

男子生徒は空を眺めるのを止め、再び帰路につく。
彼の名前は御影健二。たった今、困惑と疑問の渦中に立たされている、普通の高校生。
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