それはまるで粉雪のように
―帰り道―

「まさか……帰りの方向まで同じとは……」

健二が疲れた様子で嘆く。

「ま、そう明らかに嫌そうにいうなって」

暗い健二と明るい谷口が帰り道を行く。

「ところでさ、御影……」

「……ん?」

「あの自己紹介はなんだ?普通すぎてつまらんぞ?」

「いつも笑いを求めてるお前とは違うんだ」

健二は溜め息混じりに言った。

「ていうか谷口、お前もたいしたこと言ってなかったじゃないか?」

健二が反撃に出る。先の自己紹介で担任の尾崎に面白いことをやれと言われた谷口だったのだが、見事に不発で終わったのであった。そこを突かれた谷口は焦り、

「あ、あれはだなぁ……」

必死に抵抗を試みようとするが、その時、背後から近付く黒い影があった。それに気付いた健二は谷口の抵抗を完全に無視し、話しかけた。

「おい、谷口……」

「……なんだ?」

「俺らの後を付ける、不審な存在に気付いているか?」

「……え?」

谷口が気付いた時には既に遅し。健二の肩に不審人物は手を置いていた。
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