それはまるで粉雪のように
「…………」

肩に手を置いた不審人物は、無言で健二を見つめている。しばらくの間空気が固まった。

「……なあ」

その不穏な空気を打破したのは谷口。谷口はこの奇妙な様子をずっと見ていたのだが、たまらず聞いた。

「御影……そいつは誰だ？」

しかし健二は、

「……あの噂は本当だったんだな……」

谷口の質問を流しつつ―もちろん聞こえているのだが―自分の感想を、先の溜め息より大きい溜め息を含ませながら言った。

「……何が？」

谷口はまるで話が分からない。健二は説明する。

「谷口、お前のことだ。どこからか聞いてるだろ？ある人物を追うために、わざわざこの逆瀬高校を受験したバカな男子生徒を……」

わざわざという部分を思い切り強調した健二。

「あ～聞いたことあるな……まさかそれが……？」

谷口は驚きと疑問を交えた妙な視線を健二に送った。すると、健二の肩に手を置いた不審人物、否、バカな男子生徒はその手を顎につけながら口を開いた。
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表紙・目次

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