それはまるで粉雪のように
「あの~……化学なら、その幼なじみさんに聞いてみたらいいんじゃないのでしょうか?」

「いや」

即答。答えは否。

「健ちゃんなんかには絶対に教わらないもん……」

そう言って、美帆は再び俯く。

やれやれ、と心の中ではお手上げ状態の汐見。仕方なく、みさきに別の話を振る。

「あ、みさき。放課後、職員室に行くんだよね?」

「あ……」
「何、それ?」

反応したみさきよりもコンマ1秒遅く反応したのは、机に突っ伏したままの美帆である。

「美帆、聞いてなかったの?先生が『課題用ノート』を取りに来てくれって言ってたじゃない」

「あ~……そんなこともあったわね……」

本気であの時死んでたんじゃ、と汐見はまた少し美帆の化学嫌いが心配になったが、今はその話ではない。
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