それはまるで粉雪のように
化学の(谷口曰く、日本語でない言語で書かれていたという)小テストが終わり、熱化学の授業も終わったので、健二は職員室へと向かっていた。

「この紙切れを尾崎先生に渡せば良いんだよな……」

この紙切れに一体何が書いてあるのか、それは健二には全く分からなかった。が、平林との長年の付き合いからか、平林の書いたということは、俺にはどうでもいい内容であることは確かだ、ということには確信を持っているのであった。

健二の教室はB号棟の2階、職員室はA号棟の1階。歩きでもそんなに時間がかからない。ゆえに、休み時間内でも十分に間に合う。
既に健二は職員室の前である。

コンコン

「失礼します。っと……」

健二が職員室の扉を開けると、室内から出て来た1人の女子生徒と目が合った。
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