それはまるで粉雪のように

「本当に平林と同じ箇所を谷口は間違えたんですか？」

「何度もそうだと言っているだろう？」

米原教諭は怪訝な顔をした。

「そうですか……」

健二は内心ニヤリとした。あの平林の弱みを握ったと確信したからだ。

「お～い、御影。電話終わったぞ」

「あ、はい。では米原先生、僕はこれで……」

尾崎教諭に呼ばれたので、健二は本来の用事に戻った。突然の報酬は得たが。

「御影……」

米原教諭は健二に話しかけた。それもとびきり不信がる顔付きで。

「変なことには首を突っ込むなよ？さっきの話、御影の顔見てるとどうも裏がありそうだ」

「そ、そうですか？まぁ気をつけます」

健二は米原教諭の勘の鋭さには舌をまいた。
米原先生は要注意だな……。そう思いつつ尾崎教諭のもとへ歩を進めた。