それはまるで粉雪のように

「おぉ御影、すまなかった。急な電話が入ってしまってな」

「いえ、大丈夫です。米原先生も僕に用事があったみたいですし」

健二は苦笑と共に答えた。確かに米原教諭が健二に何も言わずに尾崎教諭を待つことになったとしたら、間違いなく平林からのプリントを机に置いて教室に帰っていたことだろう。

「ならいいんだが……ところで俺に用事なのか?」

「あ、はい。平林がこれを尾崎先生に、と」

健二は尾崎教諭に謎の文字の羅列が書かれたプリント(紙切れ)を渡した。
もちろん健二にはその文字の羅列が意味することなんて分かるはずもない。しかし、尾崎教諭は

「ふむ……これは平林からだったよな……」

たった一言発し、そして

「御影、平林は他に何か言っていたか?」

と健二に尋ねた。

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