それはまるで粉雪のように
「失礼しました」

健二が職員室から出ていったのを確認し、そして尾崎教諭に話しかける人物。

「尾崎先生、何ですか、それ?」

「ん?平林からの果たし状かな?」

突然の質問にも突発的の質問にも臨機応変に対応できる、それが尾崎教諭の利点であった。

「果たし状て……」

質問をした当の本人は尾崎教諭の屈託のない笑顔に惑わされつつ、さらに追求を深めた。

「そんなことないでしょう?その紙があの平林からなら尚更です」

「いやはや、さすが米原先生ですな」

質問をした本人、米原教諭は自分でも気づかないくらいの苛立ちさを表情に出した。
尾崎教諭はそれに気付いたので、前置きは不要だと思い、早々に本題へ入った。

「詳しいことは言えないが、しばらくしたら面白いことが起こるよ?」

尾崎教諭の顔には彼らしい、イタズラを企む子供のような表情が出ていた。米原教諭はもちろんその意味を解したので、これ以上は無駄と踏み、溜め息とともに、

「まったく……尾崎先生、コーヒーでも飲みます?」

と、給湯室へ向かった。

「ああ、頼むよ」

尾崎教諭は平林からの紙切れをもう一度見、さらにニヤニヤを深めた。


いつもの職員室の出来事。何の変哲も無かった。
空も相も変わらず青かった。

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