それはまるで粉雪のように
「携帯、携帯っと……」

通学用鞄を探す健二。

「あれ?」

しかし鞄は部屋にはない。

「……あぁ、玄関か」

すぐに思い出した健二は、階段を勢いよく降りていく。

「……あれ?」

しかし玄関に鞄はない。

「おかしいな……」

すると台所で夕飯の準備をしていた母親が出てきた。

「玄関なんかに座り込んで……どうしたの?」

「母さん、俺の鞄知らない?」

「鞄?……あ、あれね。教科書を出して、居間で乾かしてるわ。」

「そう。じゃあ携帯は?」

「もちろん、出してるわ。でもビチョビチョだったわよ?」

「俺の携帯は大丈夫なんだよ。」

「そう?ならいいけど……」

会話を終えると、健二は居間の携帯を手に取り、教科書は目もくれず、自分の部屋へと戻った。
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