先生、私じゃダメですか?
そんなある日。
「わぁ…これおいしい!!」
「ちょっと佳!!私のメロンパン食うな!!」
お昼の時間、私とミホは一緒にご飯を食べていた。ミホのお昼はメロンパン。甘いものに目がない私は、つい手を出してしまう。
「ったくもー…。」
「ごめんごめん。えびフライあげるから。」
「マジ!?」
とたんに目を輝かせるミホ。普段はしっかり者だから、こんな顔を見ると、ついつられて私まで笑顔になる。
二人で笑いながら食べている時だった。
「ミーホちゃん!!」
「わぁ!!あやな!?」
急に同じクラスの女の子が、ミホに後ろから声をかけた。
一瞬私の動きが止まる。
「ねぇねぇ、この前ミホちゃん道田恭平が好きって言ってたじゃん。」
「うん、言ったー。」
「今日あたしCD持ってきたんだぁ。」
「ウソ!!??本当!?」
「だからあっちで一緒に聞こうよ♪弘美たちがもう聞いてるけど…」
「行く行く行く!!!!」
そう言うと、急いで残りのメロンパンを口につめこみ席を立った。
「ごめん佳。ちょっと行ってくるから!!」
私は笑顔で手をふった。
でも本当は上手く笑えていない事に、私はよく気づいていた。
道田恭平とは今人気のアイドルで、ミホは大ファンだった。その事となると急に性格が変わる。
そんなミホを、止める理由なんてないんだけど、
その前に、あんな風に声をかけてくれる友達がもういる事に驚いた。
明るく社交的なミホに対し、私は内気で人見知りだ。
ミホがいなくなった今、ぽつんと一人でお弁当を食べた。