先生、私じゃダメですか?
先生の手
めちゃくちゃに廊下を走っていたら、ここがどこだかわからなくなってしまった。
夕日が差し込む階段は、誰もいなくてしんと静かだ。
「本っ当…サイテー…」
こらえきれずに階段に座る。頭を膝につけ、声を出さないよう唇を噛んだ。
それでも涙は止まらず、小さな泣き声が階段に響いた。
「…っ」
このまま、消えてなくなればいいのに。
私がミホといれば、ミホの邪魔になってしまう。
どうして、
どうして、
どうして…。
ふと、気配を感じた。
ゆっくり振り向くと、
そこには相野先生がいた。