先生、私じゃダメですか?
甲高い先生の足音と、ペタペタとそれについて行く私の足音。どこに行くのか分からず、そっと先生の背中を見た。
背…高いなぁ…。
180くらいあるだろうか。150ちょっとしかない私には、顔をあげないと先生の表情は見えない。大きな背中は一体何を語っているのか、私にはさっぱりわからなかった。
ほどなくして、職員室につれて行かれた。職員室には数名の先生方がいて、見慣れない私をチラリと見ていた。
恥ずかしさでうつむいていると、唐突に先生は言った。
「お前、何センチ?」
「えっ…?」
「だから、お前の足何センチ?」
やっと意味を察して、小さな声で「23です…」と答えた。すると、無造作にこの学校の中ズックを私のもとに置いた。
「それ、25だけど、まぁ気にしないで履いてちょうだい。」
気にするだろ…と思ったが、ここは履くしかない。ブカブカのズックを履いた私を見ると、
「早く体育館行かねーと遅れるぞー。」
と言い残すと、私を置いてさっさと職員室を出てしまった。