先生、私じゃダメですか?
「何あれ!?サイッテー!!」
私のあまりの怒りっぷりに、ミホは当惑気味だ。
「まぁまぁ、そんな怒るなよって…」
「だって、何あの言い方!!私だけならともかく、ミホまで笑われちゃったじゃん!!」
帰り道、ぶつぶつ怒りをこぼすと、ミホは苦笑いでため息をついた。
「もー…怒るとこそこー?変わらないなぁ、佳は。」
ミホは長い髪を揺らしながら、優しい顔で私を見る。
「変わらないって?」
ミホを見上げながら不思議そうに聞くと、ぽんと私の頭に手をのせた。
「そういう…自分の事よりも、人の事を考えてくれるとことか…。」
「?」
「まぁ、分からないならいっか。」
「えー!?何??教えてよー!!」
ミホは笑いながら私の頭をぐしゃぐしゃにすると、ふと動きが止まった。
「あり?そういえば明日、さっそく相野の授業じゃないっけか?」
「えっ!?」
歩みを止めてミホを見る。
「相野って、数学の先生なのね。確か…明日数学あった気がするんだけど…」
「えーーー!!!!」
露骨に顔を歪める。今日あんな事言われたのに、また明日も顔を合わせるなんて…。
「それに相野って、となりのクラスの担任だから、何かと会う機会多いかもよ。」
「嘘…。」
私はがっくりと肩を落とした。それを見たミホはにっこり笑って、私の肩に手をかけた。
「だーいじょうぶだって!!いつか相野も、佳がいいヤツだって気付くから!」
ウインクするミホを見てたら、本当に大丈夫な気がしてきた。
「うん!!」
私も笑顔になると、そのまま先生の事は忘れ、これからの高校生活について話ながら家に帰った。