モノクロ
また土手の上に戻って来た2人
団地を背にして立つ



今振り返りまたあの光景を見る勇気もなく
そのまま座り込んだ


今は何時なんだろう


時計も携帯もない2人には時間すら分からない




利弘は空を見上げた
雲一つなく星も月も綺麗に見える
古川さんも真似して空を見上げている



『何かいつもより星の数が多いな〜』


『いつも?』


『私、星を見るのが好きで、よく自分の部屋から窓開けて空見るんだ〜だから分かるの
星の数が全然違う』


利弘は考えながら空を見た


ふと月を見ると満月の形をしている


利弘は立ち上がる
月をジッと見続ける


『月?』



『橋の下に移動してすぐ見た月は三日月だった
だけど今は…』


と言い月を指す


『満月だ…』


古川さんは信じられないという表情でボソッと言った


『ここは…どこなんだ…』
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