もう会えない君。
第十二章 再スタートの壁
「そういえば今日ってさ、」
「うん?」
「記念日じゃん」
「えっ」
「付き合って今日で丁度、4ヵ月目」
「…本当だ」
「こんな偶然あるんだな」
「奇跡に近いかもね」
「あのさ、」
「何?」
「……これ」
隼はそう言ってポケットの中からラッピングされた小さな箱を取り出すと私に手渡した。
それを受け取った私は唖然としたまま、立ち止まった。
「記念日だから」
「…開けてもいい?」
「うん」
ラッピングされた箱からリボンを解いて、丁寧に紙を取り外した。
出てきた箱の中身は…――――シンプルなペアリング。
取り出してみると名前が彫られている。
“Hayato*forever”という文字が指輪の裏に記されている。
嬉しかった。
凄く、凄く嬉しかった。
だから涙が頬を伝っても拭う事すら出来なかった。