もう会えない君。
エピローグ
Dear*隼
君と出会った春。
君と過ごした夏。
君が笑った秋。
君が去った冬。
今も時々、ふと思う事があるの。
隣の部屋には君が居るんじゃないかって…。
変な期待を込めてチャイムを鳴らしてみるけど現実は甘くない。
出てくるのはいつも皐。
だけど肩を落とす事はないの。
喩え、君が居なくても…
君が居た証はいっぱいある。
どうして皐が引っ越さないか、知ってる?
私が隣だからだって。
あ…
今、ヤキモチ妬いた?
皐は隼の居た部屋を他の人に使われたくないんだって。
だって違う人が使ってたら私はもう隣のチャイムを鳴らす事も出来なくなるでしょう?
そういえば…
皐の部屋に新しい同居人が出来たの知ってる?
誰か、分かるかな。
悠だよ。
だって本当は仲良しなんでしょ?
良い人達に巡り逢えたんだね。
そういえば、悠に猛アタックしていた鈴奈さん。
卒業すると共に悠をきっぱり諦めて新しく前に進むって言って遠くの大学に進学するんだって。
切ないけど…
相手を想っての行動なんだと思う。
鈴奈さんが居たから隼の隣に居られたんだ。
鈴奈さんの悠を一途に想う気持ちが私を変えてくれたから想いを伝える事が出来たの。
彼女には凄く感謝してるんだ。
だから、彼女には悠を超えるくらい素敵な人と出会って幸せになって欲しいって思うの。
それは私のエゴなのかもしれないけど。
ねえ隼?
私、一つだけ言い忘れてた事があるの。
笑わないで聞いてね。
もう“ごめん”なんて言わせないから。
――世界で一番愛してるっ!
From*凛