もう会えない君。
しばらくして東英高校の正門が見えてきた。
隼のお蔭でなんとか遅刻だけは間逃れた。
あの場所で隼と出会わなければ、完全に遅刻していただろう。
そう考えるだけで手に汗が滲んだ。
尽きる事のない話題は正門を潜り抜けてからも続いた。
私と隼はクラス表が張り出されている掲示板へと向かった。
掲示板に近付くと思った以上に人が居て混雑していた。
「見えない…」
私がポツリと独り言のように呟くと、
「あ、俺と一緒のクラスだ」
掲示板から視線を私に戻して隼が言った。
「本当?」
私がそう聞くと隼は返答代わりに頷いた。
隼と同じクラス…。
なんだか、胸がときめいた。
知らない人ばかりの教室より一人でもいいから知り合いが居た方が楽しい。
私の場合、この高校に誰一人として知り合いが居ない。
登校初日、あんな形でだけど隼と出会えてよかったと思った。
神様の悪戯だったのかな?
私と隼は人混みを抜けて1-Aの教室に向かった。
廊下を歩いてると視線を感じた。
何度も振り返る女子生徒。
多分、それは隼に見惚れているのだろう…。
だけど隼はそんな女子生徒に気付かず、私にだけ視線を向けてた。