もう会えない君。
「悠と…まじで付き合ってるの?」
躊躇いがちに隼が問い掛けてきた質問に私は首を左右に振った。
「え?付き合ってないの?」
「彼女のフリをしてるだけ」
「フリ?」
「うん。悠くん、待ち伏せされたりするの嫌だったんじゃないかな?」
「でも、だからって何も彼女のフリをさせなくても…」
「私がするって言ったの」
「え?鈴木さんが?」
「…うん、私が」
嘘を吐くと更に嘘を重ねなければならない。
だから言葉というものは時々、面倒に思う事がある。
率先して彼女のフリをしたいと言ったわけじゃない。
だけど誰かがマイナスにされるのは嫌だった。
「意外…」
「え?」
「鈴木さんってそうゆう事、言いそうにないから」
「あ…そう?」
「むしろお願いされたのかと思った」
私は言葉を返さず、曖昧な笑みを浮かべた。