もう会えない君。
第三章 偽りの彼女
…悠の事は好きじゃない。
だけど嫌いでもない。
言葉にするならば普通という言葉が相応しい。
あれから一週間近く経った。
それはつまり私が悠の彼女のフリをし始めてから一週間が経ったというわけで今でもその偽りの関係は続いている。
今では教室に悠を求めてくる女子生徒は減った。
だからといって全く来なかったわけではない。
まだ懲りずに来る女子生徒も何人か居た。
悠は私以外の女の子と話そうともしないし、耳を傾ける事もしない。
でも悠は私の話だけには耳を傾ける。
それはこの関係になる前もだったけど。
理由は分からない。
ただ人には好みというものがあるから話せる人と話せない人に分けられるのだろう。
悠は私に冷たい視線を送る事はない。
私が話し掛けなくても悠から話し掛けてくる。
黙って空を見てても悠は私に話し掛けてくる。
どうでもいいような事を口にする。