もう会えない君。
「昨日、隣町で豆腐が安かった!」
…突然、おかしな事を言ったりする。
私はなんて答えればいいのか分からなくて相槌だけを打っていた。
すると悠は更におかしな事を言い出す。
「朝に飲む牛乳って格別?」
なぜか疑問形式で私に問い掛ける。
だから私は「さあ?」とだけ返答する。
悠は考え込む体勢に入る。
だけど、それは見事に邪魔される。
「悠くーん♪」
笑顔で近寄ってくる女の子の集団。
あの藤崎舞も一緒だ。
舞は一瞬だけ私の方に冷たい視線を放つと悠に作り笑いを浮かべた。
悠は邪魔された事が嫌だったのか、舌打ちをした。
それでも彼女達は悠に近付いて声を掛ける。
更にイラついた悠は大きく溜息を吐いた。
なのに女の子達は楽しそうに言葉を投げる。
苛々が頂点に達したのか、悠は耳にイヤホンを付けて周りの音を聞こえないように塞いだ。