もう会えない君。
茶色に近い髪色…
乱れたネクタイ…
第三ボタンまで開けられたYシャツ…
目立つといえば目立つ格好だった。
男の子は扉を閉めると自分の席を探した。
黒板に掲載されてるプリントに視線を移して…――――こちらに向かってくる。
もしかして…
私の隣なの?
そう思った時には既に隣に腰を下ろす男の子が居た。
遅れて来た事を謝る事もせず、黙って席に着く男の子。
そんな男の子を唖然と見つめる先生や生徒。
私もその中の一人だった。
「えっと…早瀬悠くん?」
担任が日誌に目を移しながら問い掛ける。
だけど返事をする事もないまま、視線だけを向ける男の子。
よく見ると綺麗な顔立ちをしていた。
透き通るような肌、薄い唇、サラサラの髪…何もかもが完璧だ。
視線を向ける女の子達の瞳がキラキラと輝いていた。
それは隼と歩いてる時に見た、熱い視線と似ていた。
…一瞬で女の子を虜にした男。
それが、私の中での“早瀬悠”の第一印象だった。