もう会えない君。
<キーンコーンカーンコーン>
チャイムが校内に鳴り響く。
それと同時に教科書を手に掲げた先生が教室に入ってきた。
静かな空気。
この先生は化学を担当しているんだけど…とにかく厳しい。
だから誰一人として口を開かない。
私はいつものようにグラウンドに視線を移した。
風が吹いているのか、木々が揺れていた。
空は今朝見た空と同様に雲一つなく、何処までも続いていた。
「鈴木っ!」
怒声に近い声で名前を呼ばれた私は視線を先生に向けた。
案の定、先生は怒りに満ちた表情…というより怒りに満ちた瞳で私を身構えていた。