piece 繋いだ手の温もり













桜が満開だった。

お母さんの大好きだった桜の花。



『お・・・か・・あさん・・・』



あたしが物心ついたとき、お母さんは桜とともに空へ帰っていった。


桜も・・・まるで泣いているようだった。




お父さんは、いつもお酒に酔ってあたしやお母さんに暴力を振るっていた。



普段は温厚で優しかった父。



だけど、お父さんもまた、あたしを育てるのに悩み、挙句の果てには他の女性と蒸発してしまった。




一人ぼっちだ。




だけど、お母さんの姉、親切な伯母がいて、あたしを高校まで育ててくれた。





だけどやっぱり・・・あたしには何かが足りなかった。
< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop