piece 繋いだ手の温もり
桜が満開だった。
お母さんの大好きだった桜の花。
『お・・・か・・あさん・・・』
あたしが物心ついたとき、お母さんは桜とともに空へ帰っていった。
桜も・・・まるで泣いているようだった。
お父さんは、いつもお酒に酔ってあたしやお母さんに暴力を振るっていた。
普段は温厚で優しかった父。
だけど、お父さんもまた、あたしを育てるのに悩み、挙句の果てには他の女性と蒸発してしまった。
一人ぼっちだ。
だけど、お母さんの姉、親切な伯母がいて、あたしを高校まで育ててくれた。
だけどやっぱり・・・あたしには何かが足りなかった。