piece 繋いだ手の温もり
友達、癒菜と一緒に帰った。
帰る場所は、まだ慣れていないマンション。
『ただいまー』
額縁の中で微笑む母に話しかける。
“お帰り、世璃”
ひょっとしたら、そんな言葉が返ってくるんじゃないかと期待をして。
でも、帰ってくると真っ暗な部屋を見て現実へと引き戻される。
そんな繰り返しだ。
コートを脱いで、洋服に着替える。
夕飯の材料を買いに行く。
それがいつもの習慣になってきていた。
再びコートを着て、財布、携帯、家の鍵と必要最低限の物を持って家を出た。
ガチャ
ダンッ!!
『!?』