チューリップの王子様
「グレイさまぁ!グレイさまー!!」
「こらこら!待ちなさい!これより先は城内ですよ!」
正面門の近くまで行くと、必死に俺を呼ぶ女の子の声と、それを止める門番の声が聞こえた
「グレイさまぁ!!カノンちゃんがっ!カノンちゃんを助けて下さい!!グレイさまぁ!」
え…?
カノンを助けて?
女の子の絶叫に近い叫びが耳に届くと、俺は全力で正面門まで走った
「その子を離してあげて」
「はっ!」
女の子を掴む門番に言ってその子を解放させる
「カノンが…どうしたの?」
涙でグシャグシャの女の子に優しく話しかける
「グレイ…さま…っ」
俺の顔を見た女の子は、一瞬止まっていた涙を再び流し言った
「カノンちゃんが、連れて行かれちゃったの!グレイ様…カノンちゃんを助けて下さいっ!」