チューリップの王子様
足音を立てないように静かに近づき、開いた扉の隙間から中を覗く
グレイが居た
氷水にタオルを浸して絞っている
あの女…メイドの分際で、グレイに看病して貰ってるの?
苛立ちながらその光景を見続ける
グレイがタオルをカノンの額に乗せたその時…
グレイの目を見て驚いた
甘さを含んだ熱い視線…
私にはくれたことのない視線でカノンを見つめている
さっき聞いた話しは本当だった
アレは…恋する瞳…
拳を固く握る…
許さないわよカノン…
私のグレイを取るなんて…
絶対に許さないから…