チューリップの王子様

大きな声でレインさんが指揮を取っている声が聞こえる


「カノン!」


次に聞こえたのは、私の名前を呼ぶグレイ様の声

すると、私の上半身がふわりと浮く

グレイ様が私を抱き起こして、傷口を痛いほど圧迫している

それでも、止まる気配がない私の血液


「駄目です…グレイ様…離して下さい…お洋服が汚れてしまいます」

「服なんてどーでもいい!っなんで…こんなこと…」


"なんで?"
そんなの貴方が大切だからです


「グレイ様が助けてくれた命…グレイ様のために使えてよかった…貴方の盾になれてよかった…」

「やめろ…もう、喋んないで…」


傷口からドクドクと血が流れる感じが分かる

きっと私は…
助からない…

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