チューリップの王子様
side:グレイ
「グレイ…様…どうか…お幸せ…に……」
カノンが微笑みながら言葉を絞り出すように告げると、その瞳が閉じられた
「カノン?!カノン!」
呼び掛けにも反応しなくなる
カノンから流れる赤い液体も、心無しか勢いを無くす
その時、レインが来た
「グレイ様…犯人は抑えました」
「…。レイン…カノンを頼む…俺は儀式を終わらせる」
レインなら、こんな状態のカノンを助けられるかもしれない…
そんな期待を胸にレインにカノンを託す
「…絶対に…死なせるな」
「はい」
レインにカノンを引き渡す時に、カノンの左手を取る
そして、その薬指にこの国の紋章が刻まれた銀色の指輪を填める
カノンが助かりますように…っと願いを込めて