チューリップの王子様

「…カノンに触れて不幸になったか?」


ザワつく会場に静かに響いた俺の声


「俺は…カノンといて不幸になったことなんてないよ」


もし…
本当にもし…
カノンが死んでしまったら

その時こそ、俺は不幸のどん底に落とされる…


「カノンは…町の皆が…国の皆が好きだって言ってた。…皆は違うの?カノンの瞳が赤いって知った途端…嫌いになるの?」


俺の静かな問いかけに、どよめく会場

でも、スミレは引かない


「あの女は、ずっと私達を騙していたのよ?!やっぱり魔性の女よ!」


スミレはどうしてもカノンに妃の座を譲るのが嫌らしい…

< 188 / 214 >

この作品をシェア

pagetop