チューリップの王子様

俺が入室を許可すると一人の使用人がお辞儀をしながら入って来た


「失礼します。グレイ様。大臣が話し合いの申し出を…」


話し合い…ね
話し合う気なんてないくせに

絶対、俺の意見を聞かずに頭ごなしに"カノンの反対"を叫び続けるんだろうな

まぁ、何言われようと俺は意見を変える気はない
カノン以外を妃にするなんて考えたくもない


「わかった。1時間後に会議室って伝えて」


俺が使用人に伝言を頼むとその人は部屋を出ていった


「反対派の代表って大臣なんですか?」


使用人が出ていくとレインが聞いてきた


「うん。王位を継げなかったから、せめて動かしやすい人を俺の妃にしようとしてるみたいだよ?」


俺の暗殺はカノンのせいで失敗した
だから、せめて自分の手駒を俺の近くに置き間接的に国を動かそうとしている

大臣の手駒…
たぶん、スミレあたりだろうね


「ちょっと休む…30分経ったら起こしてくれる?」

「かしこまりました」


レインに一言お願いしてから、俺は近くのソファーに寝転がった

大臣との討論はきっと疲れる
少しでも体力を回復させないとね

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