チューリップの王子様

すると目に飛び込んできたのはリーノの顔
その顔は、驚きに染まっている


「…リ…ノ…?」


出し方を忘れた声を無理矢理出すと途切れ途切れになってしまった


「ぁ…うあぁぁあん!!!」


私が声を出すとリーノが瞳から滝の様に涙を流し始めた

すると、その声に反応した様に部屋の扉が開いた


「リーノっ!?どーしたの?!」


入って来たのはレインさんだった
そして、レインさんも私を見ると驚いた

私を見て動きを止めたレインさんは血相を変えて部屋を飛び出して行った

珍しい…レインさんでも慌てることってあるんだね


「リーノ…どうしたの?」


リーノもレインさんもなんでそんなに驚いてるの?

動くようになってきた体を起こしながら聞くと、リーノが私に抱きついてきた


「姉様は…1年の間…眠ってたんだよぉ…ずっと、目を覚まさなくて…うわぁぁん、姉様ぁぁ!」


一年?
眠ってた?

信じられなかった…
でも、確かに頭も体も動き方を忘れたみたいに反応が鈍い

私は…本当に…?


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