チューリップの王子様
「よくないよ…」
「えっ…きゃぁッ!」
弱々しく呟いたと思ったらいきなり抱き締められた
「カノンが…死ぬかと思った…」
か細く…力の無い声
グレイ様の腕から伝わる暖かな気持ち
でも、慌てて私はその腕を離す
「だ…だめです」
私は思い出した
私は、ブラッド・アイがバレて国から出される予定だった
一年経ってるなら尚更だ
それに…
「お妃様に…悪いです」
王位継承が無事に済んだなら
婚約式も終わってる…
私は完全にお荷物…
邪魔な存在だ
「…見てないの?」
っと見せられたのは私の左手
そこには見覚えの無い指輪が填まっていた