チューリップの王子様

「…お父様…?」


後ろの誰かは…
実の父親…国王だった


「問題ない。さっさと、連れていけ」

「では、王様の気が変わらぬうちに…」


そう言って、男はお父様に金貨が詰まっているであろう袋を渡し、私に向き直った


私は、理解した…


この男は、人買いの人…

そして、その男からお父様に金貨が渡されたということは…


私は…売られたんだ…


「ぃゃ…やだ!お父様っ!お願い!私は存在しなくてもいいから、この塔から出ないから!お願いですっ…売らないで…お父様っ」


売られたら、私はきっと人以下の存在になってしまう

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