チューリップの王子様
「ははっ、リーノ。何を言ってるんだ?」
私、何か変なこと言った?
何がそんなにおかしいの?
「お前に、姉など居ないだろ?…リーノ、お前は一人っ子だ。私の唯一の娘。この国の後継者だ」
そう言い切ったお父様の目が、怪しく笑った
背中に変な汗が流れる
私は、走った
お姉様がいる塔へ
「姉様っ、お姉様!カノン姉様!!」
私は願う気持ちで、塔を登った
そして、お姉様が居る部屋を開ける
「…ねぇ…さま…?」
そこには、誰も居なかった
そこにあったハズの、家具も…何もかも、全てがなかった
まるで、昨日までのことが幻だったように…