チューリップの王子様
「えぇ、どうぞどうぞ」
っと、私を繋いでいた縄を外しはじめた商人
恐怖で私は、声も出ない
私は、きっとこの男に殺されてしまうんだ
解かれた縄が、男に差し出される
私に絶望が襲いかかる
ごめんなさい…
お母様…
「俺は、そいつの二倍…いや、三倍の金を出す」
男に縄が渡される直前に、別の声がそれを遮った
そして、先ほどの金貨より重い音をたてて商人の前に袋が置かれる
「ぉ…おおぉ!!」
商人は、一気に顔色を変え男に差し出していた縄を、今度は後から来た男に差し出した
「どうぞ、お持ち帰り下さい。毎度ありっ」
そして、私はとうとう売られてしまった