チューリップの王子様
人市場を出てすぐに、私を買った男は、震える私を抱き上げ走りだした
私は抵抗はしなかった
抵抗したらきっと殺される
だから、されるがままに男に抱き上げられていた
黒いローブを着ていて、どんな顔なのかも解らない男は、私を抱えているにも関わらず凄いスピードで森の中を走り抜けていく
そして、薄暗い森を抜けるとそこには馬車が一台停まっていた
そして、男は迷いなくその馬車に私を抱えたまま乗り込んだ
そして
「出して」
男の一言で馬車が動きだした