チューリップの王子様

二匹のつぶらな瞳に負け、そっと林檎に手を伸ばす

すると…


「ちょっと、あなた!」


部屋の扉がいきなり開き、1人の女が現れた

私と同じメイド服を着ている

この人は、グレイ様の前任のメイドさんだ


「きゃっ」


その人は、部屋に入って来て私の腕を強引に掴み、私を部屋の外に引きずり出した

ここに来てから、部屋から出なかった私は注目の的だ

人が私を見ていく
それは、どこか人市場に似ていて
私は体を震わせる


「あんた、ここに来てから仕事してないわよね?私を蹴落とした位だから、どんだけ仕事出来るのかと思ったらこの様…なんとか言いなさいよ」


私が黙っていることに、苛立った女が腕を振り上げた

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