チューリップの王子様

女の叫びに人が集まり始めた

その時だった


「カノン!来いっ!」


その声と共に、私の腕を引っ張ったのはグレイ様だった

私を強引に立たせて、部屋に入れられる


「カノン。これを飲んで!」


グレイ様が渡してきたのは、液体の入った小瓶

毒薬…?

ブラッド・アイだとバレてしまったから、私を始末するの?


「や…やだ…殺さないで…」


首を左右に振り、涙を流しながらグレイ様との距離を空ける


「違う、殺さない!これは、毒薬じゃないから!お願いだから飲んで!」


グレイ様は、逃げる私との距離を縮めてきた

小瓶を持って

怖くて、首を激しく左右に振り続け抵抗する

死にたくない
死にたくないよ!

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